サワダ(建)不動産 売買契約書の作成

第1章 不動産売買契約書の必要事項

  1. 契約年月日
  2. 売買代金
  3. 手付金
  4. 取引期日
  5. 土地の所在
  6. 地番
  7. 地目
  8. 地積
  9. 建物の所在
  10. 家屋番号
  11. 種類
  12. 構造
  13. 床面積
【補足】マンションの場合


第2章 その他の契約事項

  1. 権利等の抹消
  2. 売買対象面積
  3. 危険負担
  4. 公租公課等の負担
  5. 費用負担
  6. 付属物の引渡し
  7. 解除

第3章 契約の締結

  1. 書類の印刷
  2. 署名・捺印
  3. 収入印紙の貼り付け
  4. 契約書の所持

第4章 契約書の特約事項

  1. ローン条項
  2. その他の条項

1.契約年月日

不動産売買契約は、売主と買主が合意したときに成立します。(民法555条 )
従って、契約年月日は、売主と買主が合意した日付にします。

2.売買代金

合意した売買代金を記載します。
ここで用いる文字は、算用数字でも漢字でも構いません。
例では、算用数字を用いましたが、[弐千五百万]などのようにすると、契約書の改ざんは防ぎやすくなります。

3.手付金

通常、売買の約束が成立した時点で売買代金の全額を支払うことは無理ですので、この段階では、まず、手付金を支払うのが通例です。手付金の額は、5%から30%くらいの間で、売主と買主の合意によって定めます。

4.取引期日

そもそも、売買の約束が成立した時点で、その場で買主が売買代金を全額用意でき、その場で売主が不動産を引き渡すことができれば、売買契約書を作成する必要はありません。しかし、通常は、買主は、手付金は支払うことができても、残金は、持ち家を売却したり、住宅ローンを組んだりして、調達することが多いでしょうし、売主は、新しく住む家を見つけて引越しをするなどして、引き渡しをする準備が必要でしょう。このように、売買の約束が成立してから実際に代金が支払われて不動産が引き渡されるまでには、ある程度の期間が必要になってきます。「不動産売買契約書」は、この期間に、売主も買主も、安心して準備がすすめられるようにするために作成されるものなのです。
売主に引渡しの準備ができ、買主に残金支払いの準備ができる見込みの日付を、双方の合意で、「取引期日」として定めます。
「取引」とは、残金の支払いと不動産の引渡しをすることで、地域や業種によって、「決済」などと呼ばれることもあります。
取引期日には、買主は残金と登記費用等を、売主は権利書、3ヶ月以内の印鑑証明書、実印と家の鍵を持参します。取引を行なう場所は、買主が住宅ローンを利用する場合はその金融機関、不動産業者の仲介で売買が成立した場合はその不動産業者の事務所、その他の場合は司法書士事務所などが適当です。取引期日までに、具体的な場所と時間とを双方で打ち合わせておき、また、所有権移転登記申請を委任するために、あらかじめ、司法書士に同席を依頼しておきます。

5.土地の所在

売買する土地の所在を記載します。ここへの記載は、不動産登記簿謄本を見ながら、一字一句、正確に記載する必要があります。

6.地番

売買する土地の地番を記載します。不動産登記簿謄本の記載どおりに記載すればよいのですが、横書きの場合は、算用数字を用いても差し支えありません。なお、住居表示がなされている場合、 「住所」の地番とは異なる場合がありますので、注意して下さい。また、 「番地」ではなく、「番」と記載しなければならないことに注意して下さい。

7.地目

売買する土地の地目を記載します。これも、不動産登記簿謄本の記載どおりに記載してください。

8.地積

売買する土地の地積を記載します。これも、不動産登記簿謄本の記載どおりに記載してください。地目が 「宅地」などの場合は、小数点以下2桁まで、それ以外の場合は、小数点以下は記載しません。

9.建物の所在

売買する建物の所在を記載します。これも、不動産登記簿謄本の記載どおりに記載すればいいのですが、土地の所在とは異なり、地番まで含められていることと、建物の所在における地番の表示は、 「番」ではなく、「番地」であることにご注意ください。
なお、建物の所在も、住居表示の「住所」と異なることがあるのは、土地の地番の場合と同様です。

10.家屋番号

建物一つ一つには、家屋番号というのが与えられています。普段は意識することがないものですが、これも、不動産登記簿記載のとおりに記載してください。

11.種類

建物の種類を記載します。これも、不動産登記簿記載のとおりに記載してください。


12.構造

建物の構造を記載します。これも、不動産登記簿記載のとおりに記載してください。

13.床面積

建物の床面積を記載します。これも、不動産登記簿記載のとおりに記載してください。数字は、横書きの場合、算用数字で差し支えありません。

なお、ここでは、平家建の例になっていますので、床面積の記載はこれだけですが、例えば、二階建の場合には、次のように、書き加えてください。

床 面 積    1階 80.00平方メートル
        2階 65.23平方メートル

【補足】マンションの場合
マンションの場合は、売買物件の表示が一戸建ての場合と異なります。また、建物の登記簿謄本に、「敷地権の表示」がある場合とない場合などとによって、記載の仕方が異なります。(赤字は、書き加えたり書き直したりすべき部分です。)
  1. 敷地権の表示がない場合で、建物の番号が定められている場合
    所  在    大阪市中央区日本橋一丁目
    地  番    20番1
    地  目    宅地
    地  積    150.00平方メートル
    共有持分    1000分の50

    一棟の建物の表示
    所  在    大阪市中央区日本橋一丁目20番地1
    建物の番号   日本橋グリーンハイツ
    専有部分の建物の表示
    家屋番号    日本橋一丁目20番1の1
    種  類    居宅
    構  造    木造一階
    床 面 積    一階部分 80.00平方メートル


  2. 敷地権の表示がない場合で、建物の番号が定められていない場合
    所  在    大阪市中央区日本橋一丁目
    地  番    20番1
    地  目    宅地
    地  積    150.00平方メートル
    共有持分    1000分の50

    一棟の建物の表示
    所  在    大阪市中央区日本橋一丁目20番地1
    構  造    木造瓦葺二階建
    床 面 積    1階 80.00平方メートル
            2階 80.00平方メートル

    専有部分の建物の表示
    家屋番号    日本橋一丁目20番1の1
    種  類    居宅
    構  造    木造一階
    床 面 積    一階部分 80.00平方メートル


  3. 敷地権の表示がある場合
    一棟の建物の表示
    所  在    大阪市中央区日本橋一丁目20番地1
    建物の番号   日本橋グリーンハイツ
    専有部分の建物の表示
    家屋番号    日本橋一丁目20番1の1
    種  類    居宅
    構  造    木造一階
    床 面 積    一階部分 80.00平方メートル
    敷地権の表示
    所在及び地番  大阪市中央区日本橋一丁目20番1
    地  目    宅地
    地  積    150.00平方メートル
    敷地権の種類  所有権
    敷地権の割合  1000分の50

第2章 その他の契約事項

データ入力が終われば、とりあえず、契約書が完成しますので、一度、目を通 してみてください。
この章では、前章で説明しなかった事項について、説明します。



1.権利等の抹消

売買物件に抵当権がついていたり、だれかに賃貸している場合は、通常の売買においては、取引期日までに売主はこれらの権利を抹消して、買主が自由に使用できる状態にしておかなければなりません。ただし、抵当権がついたまま売買したり、だれかに賃貸している物件をそのまま売買することも可能ですので、その場合は、この条項を適宜書き直す必要があります。


2.売買対象面積

従来、登記簿記載の地積や床面積は、正確に測量されずに定められることが多かったため、実測すると、登記簿記載の面積と実測面積が大きく異なる場合があります。そのようなことが、売買契約後に明らかになっても、売主も買主も、異議を申し立てないという規定を設けておく必要があります。このような規定がなければ、実測面積が少ない場合、売主が損害賠償を請求されることになります(民法565条)。都市部の土地の売買などで、正確な地積をもとに売買したいときは、売買契約に先立って、土地家屋調査士に依頼して、正確に測量した上で地積更正登記をすませておくのがいいでしょう。


3.危険負担

売買契約後、取引期日までに、もし、売買する家が火事にあったような場合にどうするかということを決めておく必要があります。もちろん、売主の失火で火災が起きたときは、売主の責任ですので、買主は、契約を解除して、手付金を返還してもらうことができます(民法543条)。しかし、売主に過失がない場合には、民法の原則では、買主は契約を解除できず、売買代金全額を支払わなければならないことになっています(民法534条)。不動産の場合は、この民法の原則ですと、あまりに買主に不利になりますので、民法とは異なる規定を置いて、このような場合に買主は手付金を返還してもらって契約を解除することにするのが通例です。なお、買主の過失などによって失火したような場合は、買主が契約を解除することができないのは当然のことです(民法548条)。


4.公租公課等の負担

特に、問題になるのが、固定資産税です。固定資産税は、1月1日現在に登記されている所有者に課税されます。すると、例えば、1月2日に所有権移転登記がされたような場合は、売主にとって、非常に不利益になります。そのため、実務上、取引の場において、その年の固定資産税を日割り計算で清算するのが通例です。また、これに関連してよく問題になるのは、マンションの管理費の滞納がある場合です。この場合は、後に紛争になることもありますので、マンションを購入する場合には、あらかじめ、管理組合に問い合わせるなどしておくのが安心です。


5.費用負担

民法の規定では、登記費用は、売主の負担ということになっています(民法485条)。しかし、これでは一般常識とかけ離れてしまいますので、契約書の規定で買主の負担とすることにするのが通例です。ただし、この場合でも、地域の慣習で、「売渡証書作成費用」や「立会費用」などの名目で、売主も、5000円から30000円程度の負担を求められることもありますので、あらかじめ、依頼する司法書士に問い合わせておいてもいいでしょう。なお、後述のとおり、この契約書には収入印紙を貼ることになっていますが、これは、売主、買主双方が負担しなければなりません。

消印には売り主買い主両方ともの印鑑がいるのでしょうか?


両者の印鑑は必要ありません。
 印紙税の納付は消印により達成されますが、その消印の本来的な意味は「収入印紙の二重利用の防止」にありますので、当事者の一方の印鑑で消印しても、印紙税法上は納税手続きとして有効なものとなります。

調査で収入印紙を貼るべき契約書に貼ってないといわれました。ほんとに3倍の税額を払わないといけないんですか


残念ながら本当です。印紙税法第20条に明記されています。
 今後は気を付けましょう。

消印について詳しく教えてください。


消印とは、収入印紙とそれを貼り付けた文書の両方にわたり印影(はんこを押した朱肉の跡)を残すことをいいます。従って、印影は収入印紙のギザギザをまたぐことになります。
  文書だけあるいは収入印紙だけへの押印は消印とは認められませんのでご注意下さい。

印施色々


■文書の作成者又は代理人、使用人その他の従業者の印章又は署名によることになっています(令第5条)
※消印する人は文書の作成者に限られておりません。
※消印は印章でなくても署名でもよいとされているところから、その文書に押した印でなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印章又は署名であれば、どのようなものでも差し支えありません。
■印章は通常印判といわれているもののほか、氏名、名称などを表示した日付印、役職名、名称などを表示したゴム印のようなものでも差し支えありません(基通第65条)。
■複数の人が共同して作成した文書にはり付けた印紙は、その作成者のうち誰か1人の者が消せばよいことになっています。例えば、甲と乙とが共同して作成した契約書については、甲と乙の双方が消印しても甲と乙のどちらか1人が消印しても差し支えありません(基通第64条)。


6.付属物の引渡し

家を売ったときに、家の中の畳も売ったことになるのは当然のことです(民法87条)。しかし、植木やクーラーやシャンデリアなどをどうするかで、トラブルになることがあります。契約書では、それらもすべてを買主に引き渡すことになっていますが、どうしても、売主が持っておきたいものがあれば、契約の際に、口頭または書面(メモ)で、買主にその旨を了解してもらうのがいいでしょう。


7.解除

売買契約は、取引が成立するまでは、買主は手付金を放棄して、売主は手付金を倍返しして、いつでも解除することができます(民法557条)。ここでは、相手が解除しなくても、相手が契約違反をした場合には、こちらからも契約を解除することができることを明記しています。手付金の額は、このようなことも考慮して、定める必要があります。

第3章 契約の締結

では、この契約書を使った契約の締結の方法を順を追って説明します。



1.書類の印刷

ここで作成した書類は、A4の用紙に、貸主のものと借主のものの計2通印刷 します。
以前は、民法上の書類は、裁判になったときの各種書類がB4であったことや不動産登記 の申請書がB4と決められていたため、B4の用紙を使用するのが一般的でしたが、現在、裁判関係書類や登記申請関係書類がA4の用紙となったため、A4の用紙が使われています。



2.署名・捺印

2通の契約書それぞれに、売主と買主双方が署名捺印します。
署名は、原則として、自筆で行います。あとで、本人が契約したかどうかが問題になったときに筆跡を鑑定できるようにするためです。なお、住所・氏名は住民票や印鑑証明書の記載と一致している必要があります。
また、捺印は、法律上は認印でも構いませんが、これも、後に問題が起きたと きのために、実印を使う方が好ましいといえます。実印を使った場合は、売主・ 買主双方の印鑑証明書をお互いに手渡して、実印が正しいものであることの証と します。この場合の印鑑証明書は、いつ発行のものでも構いませんが、3ヶ月以内のものを使用すべきです。
なお、売主や買主が二人以上の場合には、全員の署名捺印が必要です。



3.収入印紙の貼り付け

収入印紙は、貼らなくても契約の効果には影響ありませんが、脱税になります 。
収入印紙は、下記の額面のものを、2通の契約書のそれぞれの左上に貼り、売主・買主双方が消印を押します。
貼り付ける収入印紙は、売買代金によって、以下のように定められています。

売買代金 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
50万円以下 400円
100万円以下 1,000円
500万円以下 2,000円
1000万円以下 10,000円
5000万円以下 20,000円
1億円以下 60,000円
5億円以下 100,000円
10億円以下 200,000円


※なお、平成21年3月末まで、以下のように軽減されています。
売買代金 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
50万円以下 400円
100万円以下 1,000円
500万円以下 2,000円
1000万円以下 10,000円
5000万円以下 15,000円
1億円以下 45,000円
5億円以下 80,000円
10億円以下 180,000円

※10億円を超える場合は省略



4.契約書の所持

これで、契約書の作成は完了です。
作成された契約書は、売主と買主の双方が、1通ずつ保管します。

(署名捺印、収入印紙貼付の例)

第4章 契約書の特約事項

この契約書で、一般の一戸建住宅の売買ならば十分ですが、場合によっては、特約が必要な場合があります。



1.ローン条項

買主が住宅ローンを借りて、残金を支払うような場合、もし、金融機関の審査の結果、融資が受けられなくなった場合、買主は、手付金を放棄して契約を解除しなければなりません。しかし、これでは、買主は安心して契約することができません。そこで、もし、売主に同意してもらえるならば、融資が受けられなくなった場合には、手付金を返還してもらって契約を解除できるような条項をつけることができます。これを、「ローン条項」といいます。具体的には、以下のような記載をします。

特約1.(ローン条項)
買主が、第2条の売買代金のための融資が否認された場合、買主は、本契約を解除することができる。その場合、売主は、無利息にて手付金を全額すみやかに返還することを要する。


2.その他の条項

契約する土地が農地で農地転用の許可が必要な場合や、契約する建物の敷地が借地で地主の許可が必要な場合などには、これらの許可が得られない場合にどうするかということを、特約で定めておく必要があります。

不動産売買の手続き 不動産の売買諸費用 固定資産税 住民税の計算 不動産関係法令 不動産仲介報酬形態 遺言書の作成 不動産の媒介契約 売買契約書の作成 不動産の検索 住宅ローン  成年後見人 不動産の査定 資金計画 不動産と相続 不動産と収用法 不動産の仲介手数料 不動産の賃貸諸費用 不動産の測量登記 不動産の中古ローン減税 不動産の税金 
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